
ウレシパ・フラノ
体験プログラムコーディネーター
後藤由美子さん
―どのようなツアーを開催していますか?
後藤 「フラノ体験ツアー」と題して、電動自転車を使ったツアーや、富良野メロン収穫体験・養蜂体験・ミニトマト・とうもろこしの収穫体験を実施しています。
今年度はもう受付終了しましたが、田植えから収穫までの「お米手作り体験」もやっています。
冬は越冬野菜の体験のほか、味噌仕込みやソーセージ手作りといったインドア体験を実施しています。屋号の「ウレシパ」とはアイヌ語で「お互いを育て合う」という意味。このコンセプトで各種ツアーを企画・開催しています。
―人気はどのプログラムですか?
後藤 メロンと養蜂の体験ですかね。どのように蜂を管理しているのかといった日頃の知られざる作業を体験することができます。つなぎを着てネットを被り、長靴を履いて、グローブをつけて。六角形がつながる幾何学模様の蜂の巣って、みなさん見たことがないと思います。じっくりと観察することができます。場所は富良野市内、あちこちに作業場があり、その時々で条件がいいところを選んでご案内しています。
体験では蜂が集めた蜜を試食します。時期と場所によって色や味がぜんぜんちがうのです。食べ比べを楽しみます。実はメロンと養蜂って深いかかわりがあるのです。メロンの受粉作業はミツバチがやっています。こういった自然を学ぶエコツアーにしています。

―そのほかには?
後藤 今年2019年からミニトマト農家さんへ行き、季節の野菜収穫とアウトドアクッキングとしてピザ釜を使ってピザを焼くプログラムもスタートします。
そのほかは電動自転車のサイクリングツアーです。参加者によってカスタマイズしますが、基本的なルートは中富良野をベースに3つのラベンダー畑の周辺を巡るコースと、富良野市内での食べ歩き的なまち歩きコースなどがあります。
―始めたきっかけは?
後藤 10年以上富良野の観光協会にいました。観光案内所でお客さまとお話しするなかで、「農業や食に関する体験型のものがないですよね」と。要望はあるのに、農家さんもその時期は忙しい。団体はともかく個人のお客さまを受け入れてくれるところがなくて。それで、わたしが実施することにしたのです。
―農家さんとはどのように?
後藤 山部(やまべ)地区の大石農園さんが受け入れてくれることで事業をスタートすることができました。大石さんとは、先代のお父さんの時に知り合いました。
最初のきっかけは香港のメディア取材の依頼があった時でした。「冬の農家が何をしているのか取材したい」という一風変わったものでした(笑)。こんなことを頼める人はなかなかいなくて。人づてに先進的なことをやられていると知ってお願いしたのが大石さんだったのです。
現在は大石さんの息子さんが東京から帰ってきて農家を継いでいます。息子さんも割と新しいことをやりたいということで、引き続き受け入れてもらっています。
―出身はどちらですか?
後藤 兵庫県の神戸出身です。20代後半のOLの時、初めてひとり旅をしたのが北海道。まず富良野に来ました。わたし、テレビドラマの『北の国から』世代なのです。
その後、北海道を軽く1周しました。この旅の途中で知り合った人が、その時は層雲峡でしたが、富良野で民宿を始めたという年賀状が来たのです。ご縁だと思い「これは、行くしかないでしょう!」と富良野へ。
その民宿のヘルパーに来たのが移住のきっかけ。以来、20年近くの年月が経過しました。

―ツアー参加者はどんな人?
後藤 参加者は実は、外国の人が多いのです。観光案内所に勤めていた時に、さまざまな国の人がくることで、カタコトですが英語を覚えました。外国人も本州の人もそうですが、こういった一面、畑や田んぼのフィールドに来ると、すべてに驚かれます。ミニトマトがなっている姿を見るだけでも感動だと言われます。ましてやアスパラの成長した姿など、ほとんどの人が初めて見たとびっくりされます。
こうしたお客さまの表情をみるにつけ「ガイドツアーをやってよかったたなあ」とやりがいを感じますね。旬のものを畑で新鮮なうちに味わうことで「甘さがちがう〜」と一様に驚かれます。
―参加者に感じてほしいことは?
後藤 メロンを始めこの地の野菜類がおいしいのは、寒暖の差があることはもちろん、人々の苦労と工夫のたまものだと思っています。土は決して肥沃なわけではありません。開拓の時からの苦労話しをあちこちの農家さんから聞かされました。ここまでブランド化になったことに対して尊敬の念をいだかずにはいられません。
観光で来る人は、ここ富良野の景色を楽しみにしていると思います。この景観をつくっているのは、人の力によるということを、伝えていきたいと思います。想いを伝えることによって、野菜やメロンなどの「おいしさ」につながるのではないかと思っています。
今シーズンも道内外の人にツアーに参加してもらいたいですね。そして、食材のおいしさについてもっと知っていただけたらうれしいです。
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(本文敬称略)